旧奈良警察署鍋屋連絡所の建築について

鍋屋連絡所 奈良女子大学正門斜め前に建つ、旧奈良警察署鍋屋連絡所は、明治41年(1908)に設置された「鍋屋巡査派出所」を起源とします。当初は現在地から50mほど南の鍋屋町にありましたが、昭和3年(1928)12月に半田横町の現在地に移転したとされます。


 南北4間、東西2間、木造平屋建、寄棟造、鉄板葺の洋風建築で、南西隅を隅切りして入口を設けています。平面は、南半分を執務室、北半分を廊下・宿直室とする8畳2室ほどの小さな建物です。


  木造でありますが外部意匠はセメントモルタルで、石造建築をイメージさせます。当時の表現手法です。 内部壁は漆喰塗り、天井は執務室と宿直室で漆喰塗りと板張りペンキ塗りに使い分けています。


  こうした洋風の意匠は明治期の巡査派出所の形態をとどめるもので、向いの旧奈良女子高等師範学校(現奈良女子大学記念館)の建物を意識したことは明らかです。 独特の外観と立地環境から地域住民に永く親しまれてきた建物で、また観光客にも深い印象を与えています。(絵・文 増田明彦)



↑ページのトップへ